真田丸 第四回「挑戦」感想 信長という男

昌幸の策略により、
まんまと信長に招かれることとなった真田父子。
信之を郷に残して、信繁は父に同行する。

真田丸 第四回「挑戦」
織田信長明智光秀、登場。
信長の鮮烈な生きざまを、信繁は目に刻み付ける。

タヌキの化かし合い・織田陣営

信長が陣を張る諏訪法華寺に信繁と昌幸は到着する。
昌幸は信繁に「下手に出るな」と言う。
「真田は負けたわけではないのだ」
「父の姿をしかと目に焼き付けておけ」
実際には戦う機会を逃したと言えるような気もするが、
昌幸は堂々とそう言い切る。

そして二人は遠目に家康の葵の旗を見つける。
三方原のことを昌幸は懐かしげに語る。
「武藤喜兵衛!」
とても嬉しそうに信繁はその名を発言する。
「そのお話、大好きです」「いかにも強そうだ!」
信繁の絶賛に、昌幸も武田信玄につけてもらった名前だと、
誇らしげに懐かしげに「武藤喜兵衛」について語る。
家康が泣きながら逃げるさまが懐かしい、と。
真田丸』の家康、緩急の激しい彼の
泣きながら逃げる姿は容易に想像できるから困る。

そこに現れたのは室賀。
信長に真田の文を届け密告した男は、
それが昌幸の策略とも知らず、
「ひたすら詫びろ」と重々しく言い放つ。
完全に昌幸の手の平の上だ。
小山田が身を滅ぼした織田への恐れは、ここでも健在である。

一方、穴山梅雪も小山田の末路を思い、自分の身を案じる。
家康はこちらから声を掛けたのだからと穴山梅雪をなだめる。
同じ裏切り者でも格が違う、と。

織田陣営はどいつもこいつも狸ばかりである。

徳川家康本多正信との会話の中で、
真田昌幸こと武藤喜兵衛を思いだし、苦々しい顔をする。

真田と徳川、因縁の出会い

「生きるか死ぬかの時に殿はあくびをしておる!」

「大したお方だ」

昌幸のおおあくびに、驚く三十郎と感心する信繁。
むずむずと昌幸はやたら可愛らしい。

待ちぼうけに飽きたのか、信繁は織田の陣をうろつき、
本多忠勝、そして徳川家康と出会う。
弓の並び方を見て、徳川の几帳面さを見抜く信繁。
家康は意外と素直に「褒められたぞ」と喜んでみせるが、
「ただ!」「真田は先を行っております!」
と信繁に手のひらを返される。
自分が話していた相手が家康と知った信繁の
「もうちょっと下の方かと」発言といい、
この家康は威厳をひけらかさない。
しかし、上の者としての器は確かに持ちあわせている。

信之の苦悩

一方、真田の郷では信之が落ち着きなくうろうろしていた。
信繁も織田陣営をうろつき、昌幸に落ち着きがないと言われ、
昌幸も信繁に父上に言われたくないと言い返される。

落ち着きがないのは真田の家風か。

そして信之は怪しい動きをする松と梅を発見する。
小山田茂誠は未だに遠くに逃げず作兵衛に匿われていた。

信之はすぐに感づき、問い詰めるが、
松と梅、そしてきりの機転で誤魔化される。
三人は、「かかとがかさかさしている」
「潤いが足りないのよ」「淋しさが募ると足りないらしい」
と雑談を始め、信之はその場を去る。

信之はその猿芝居を見抜いていた。
信之は真面目さと優しさの板挟みだ。
真田家のいい緩衝剤になっている。

一方、作兵衛の家から戻ったきりは、
父の高梨内記からくぎを刺される。
作兵衛はあくまで地侍、百姓なのだ、身分の差をわきまえろと。
きりは心に寂しさを覚えたかのように、かかとを気にする。
作兵衛ときりのあいだにある身分の差。
その差は信繁と彼が恋する梅にも絡んでくるだろう。

剛胆・昌幸

昌幸は信長と会えることになるが、
焦らされるように信忠からの尋問を受ける。
信忠は毅然とした態度で二通の書状について昌幸を問い詰める。
上杉への書状と織田へ書状。
その書状の矛盾を示し、問い詰める信忠。
昌幸はのらりくらりと、上杉を牽制するためと返す。

方便でござる。小県を守るため、
自分たちは慎重にならなければいけない。
ばくち打ちのように織田についたわりに、
昌幸はそんなことを嘯く。

信繁はそのやりとりに、静かに喉を鳴らす。

信忠の追及を切り抜けた昌幸を家康が追撃する。
上杉に招かれているように見せて、
織田に売り込みに来たのではないか、
見事に昌幸の意図を汲んでいる。
伊達に家康は三方原で泣かされていない。

「潔く認められよ」

「このような場で偽りなどあってはならぬ」

昌幸は気合一つはったり一つでその場を逃れる。
意趣返しのように、家康は昌幸に武藤喜兵衛どのと、
一度は昌幸が誤魔化した武藤喜兵衛の正体を
知っていることを明かした。

そして緊張しっぱなしの信繁が
さらに緊張させられる。

織田信長、魔王の登場だ。

静と動、織田信長

足元はブーツ、振り返った襟元は西洋風のフリル。
先進的な信長のなりは、
いかにも武士然とした人々の中で浮いている。

こんなにタイミングよく来た信長は
息子たちの尋問が終わるまで待っていてくれたのだろうか。

頭を下げる昌幸にかがみこむ信長。
画面の後ろから差し込む光。
動きはなくても迫力のある場面だった。

「意外と静かだった」「目に力がある」
「龍のよう」。強烈な信長の印象を
三十郎に語っていた信繁は
信長が明智光秀を怒りのままに
欄干に打ち付ける姿を目撃する。

「何をした!申してみよ!」

狂ったように、叫ぶ信長。
複雑な感情のこもった目で見上げる光秀。

一体二人の間に何があったのか、
詳しい経緯は語られない。
ただその苛烈さが信繁の眼に刻まれた。

真田の苦悩

真田に帰ってきてことの顛末を報告する昌幸。

沼田と岩櫃をとられること、人質が必要なこと、
真田家の苦難は尽きない。

内記と語り合うとき昌幸は弱さを垣間見せた。
きっとこの顔は息子たちには見せないのだろう。

沼田と岩櫃を織田に引き渡す。
それを聞いて昌幸の叔父・矢沢頼綱も気丈に振る舞う。
真田家は我慢を強いられるが、強くある。

安土への人質に誰を出すか、
薫は反対するが、茂誠のこともあり、
松と信繁は結託して松の安土行きを推す。
話を聞かされていない信之も察しよく、
それを後押しする。

「織田についておくのが一番じゃ」

「浅間の山が火を噴かぬ限り~」といい
昌幸のそれっぽい言葉は、
これからもフラグ立てに使われるのだろうか。

憧れの安土そして本能寺の変

安土に人質として赴く姉に信繁は同行する。

グラスで酒を傾ける人々、街角には異人の姿。
発展した安土の様子を見て、目を輝かせる信繁。

茂誠のことも抜かりなく、姉の近くに留まれるよう手配する。

先進的な安土で、新しい松と茂誠の生活が始まる。
そう思わせたのも束の間、信繁はうなされる。

「何をした!申してみよ!」

怒り狂う信長の声。
明智はなぜ信長の怒りを買ったのか。
それが信繁には明かされぬまま、本能寺の変は起きてしまう。
何も知らない信繁と松、茂誠の身にも危険が襲う。

まとめ

まさかの数分で本能寺の変が始まり終わった。
あの強烈な印象を残した信長が、
無残に殺される姿は描写しづらいだろう。
鎧を崩し、首を落とす。それで済ます。
真田丸はそうやって信繁と視聴者に、
信長の強烈な姿を残した。

織田家でのやり取りのときの、
オレンジ色の光も強烈な印象だった。
真田家の自然な色味と比べて、
織田の戦場感を際立たせていた。

次回、真田丸 第五回「窮地」
再び逃げなければならなくなる真田家。
一方、逃げる家康。頑張れ家康。泣くな家康。
忠勝が変身すればどうにかなりそう。

 

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前回、真田丸 第三回「策略」感想

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