ベストセラー小説の書き方とベストセラー漫画家

ディーン・R・クーンツ「ベストセラー小説の書き方」を読んだ。

ベストセラーを書きたい人へ、作法ももちろん、作家稼業の商売事情までつまびらかにされた本。

少し古いものだし、海外の作品だしで商売事情の辺りはあまり読んでていてもピンと来ない。
ただ、それを通じて作者が言いたいのは「作家になりたい」という人間が持つべき心構えだと思う。

第四章「ストーリー・ラインを組み立てる」ではクーンツの著作 「ハンギングオン」の冒頭から、便所の描写に蜘蛛を挿入することの効果について語っているところが興味深かった。

第七章「信憑性のある登場人物をつくりだす」では、キャラクターを掘り下げるために身上調査書を作ることとその項目について述べている。

それで思い出したのは「ジョジョの奇妙な冒険」の作者・荒木飛呂彦先生だ。昔、荒木先生がNHKに出演された時、ご自分が使っている「キャラクター身上調査書」を公開していらっしゃった。

荒木先生のキャラクター身上調査書は下記リンクから。

NHK高校講座 | 芸術(美術Ⅰ/書道Ⅰ)

クーンツの挙げていることは荒木先生がその作品の中で実践していると言ってもいい。
何かと独特なセンスが印象的な荒木先生だが、「荒木飛呂彦の漫画術」をチラ読みして緻密に理詰めで描いてらっしゃるのだと感じた。

とりあえず私はクーンツが本書で挙げている彼の著作を読みたくなった。

小説家としてだけでなく、セールスマンとしての才能もふんだんに見せてくれる一冊だった。

 

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