真田丸 第十一回「祝言」 幼馴染の悲しみ

めでたい祝言という単語にもかかわらず、陰謀渦巻く真田丸
のっけから嫌な予感しかしません。

第十一回「祝言」
このまま漢数字で話数を書いていくとごちゃごちゃしそうで迷いどころ。

室賀正武

先週みごとに主人公がプロポーズを果たしたその裏側で、狸屋敷に招かれていた室賀は徳川家康と対面を果たします。

揺さぶってくる家康の言葉に対し、意外とあの真田を信頼していた室賀でしたが、小県のことが書かれていない証文を見せられ、動揺。

家康が去ってから、本多正信が駄目押しします。

「安房守の嫡男が新しい当主になったと知らせが聞きたい」

そんなことになっては信之のことをもう、小童とは呼べません。
どうする室賀。

源次郎の結婚前夜

一方、何も知らない源次郎サイド。

親しい友人を集めて、梅と結婚すると宣言。
きりと結婚すると思っていたと空気の読めない三十郎は佐助に突き飛ばされます。

梅は側室になることしかできないだろう。
その事実を梅は受け入れます。
身分の違う相手に恋をしたときから、どのような苦難も受け入れる覚悟を彼女はしていたのでしょう。
結ばれたとしても、正式に結婚できるかも分からない。
それでも源次郎の支えになれるよう心をつくして行動してきた梅。
並大抵ではない決意がそこにはあります。

さらに梅の身分のこともあり、反対があるかもしれない。特に母から。
ということで源次郎、一計を案じます。
満場一致で面倒くさそうとされている母・薫。さすがです。

まずは兄・信之に報告。

「口吸いどころではないではないか!」

デキ婚に驚かれながらも和やかな報告ができました。

 お次は父上。
人質の駒が増えた、ばば様だけでは心もとなかったという言葉に、梅は体が丈夫だから立派な人質になってくれると信繁も太鼓判。
このちょっとひどい言葉、後から効いてきます。
祝言をあげたいという信繁の願いにも、昌幸は二つ返事でOKです。適当です。

最後は完全に人質の勘定に入れることを放棄されている母上を始めとする女性陣。
歓迎するばば様。母上はお怒り。
源次郎には自分が嫁を手配する、生まれてくる子供が男だったらどうする、長男・信之に子が生れなかったら梅の子が嫡男になるのだぞ。
薫の怒りに大声で謝るおこうさん。

ここの嫁姑コントに梅が参戦する様があんまり想像できません。
きりは嫁でもないのにすでに参戦しまくってます。

「健やかなお子が生れますよう」

母に反対される源次郎に、おこうさんはそう言います。
自分の負い目もあるにしても、いい人です。

思っていた通り薫以外には賛成された信繁。
作戦決行の時が来ました。

 まずは三十郎。百合の花を差し入れます。
嬉しそうに活ける薫。香りを楽しんでいます。
そんな薫の部屋の屋根裏で何やら怪しい行動をしている佐助。

そこに母を説得しようと現れる源次郎。

梅の良さを並べ立て、セールスマンのように熱弁振るいますが、薫には弁が立ちすぎると叱られます。

春日説得に失敗した時と同じような失敗を母相手にもしてしまう源次郎。

「好きなおなごがいるから結婚したいとなぜ言えぬのか」

策略めぐらさずにはいられない昌幸の妻だけあるお言葉です。

説教の途中ですが、佐助が失態を犯し、その存在がばれます。

曲者に気付き、天井を突き刺す母上。
おこうさんだったら得物の重さで倒れてそうなので、ここら辺、公家の娘といってもさすが武家に嫁いだだけのことはあります。
梅ちゃんなら薪わりの斧を、きりちゃんならおまんじゅうを投げているでしょう。

源次郎が姑息な手段を使いまくっていたことがバレ、薫はお怒り。

昌幸がとりなしますが、結局、祝言はなしということになってしまいます。
源次郎のあずかり知らぬところですが、正室をとらせるお墨付きまで与えてしまっています。
策士、策に溺れまくりです。

一方、源次郎と梅の結婚話を父の内記から聞かされるきり。

「梅ちゃんはいい子です」と一度は毅然と言ったものの、子供がいると聞いて、さすがに声が震えます。

男が生れたらどうする!?と内記は薫と同じ心配をしていました。

庶長子が男の子だったら、宇和島藩をあげるといいと思います。

 

そしてきりは梅のもとへ。

内記の前で見せた動揺もなんのその、お祝いにと鯉を運んでこさせます。

「梅ちゃん意外と男っぽいとこあるし」と、遠慮のないことを言いながら、二人はお似合いだと、太鼓判を押すきり。
きりと源次郎、なんやかんやで表面的には仲直りできました。

父の前では、源次郎と梅の前ではきっとうまく行くと力強く断言し、陰で泣くきり。

そこに登場します信之はお構いなし。
泣いているのに気付かなかったのか、案外きりが源次郎とケンカして泣いているのが慣れっこなのかも分かりません。謎です。

信之の祝言はなしという知らせに、戸惑う源次郎。

祝言は挙げるべきときり。
お方様(薫)とこれ以上もめてほしくないと、側室を認めてもらえただけでも万々歳な梅。
祝言やりたかったとぽろっと言っちゃう作兵衛。

和やかな身内だけの祝言の裏でナレーションによって4人の妻をめとるとバラされる源次郎。

他の妻をめとるつもりはないという源次郎の言葉への鋭すぎる突込みです。

上田城・室賀

そして徳川に作らせてた上田城が完成し、室賀が祝いに来ます。
有能な信伊さんの連絡で、室賀の動きが怪しいことには気づいていた真田家。

「それとなく浜松に行ったかどうか尋ねて、答えを誤魔化したら怪しい」

そもそも室賀を騙している昌幸はいろいろ探られますが、のらりくらりとかわします。

信之が聞きたいことがあると、丸投げする昌幸。
困りながら信之が質問したのは「室賀さまは肌艶がいいですが、秘訣などありますか?」「ない」「ウナギは肌に良いそうです」「知らぬ」「浜松ではウナギが有名ですが、召し上がりましたか?」「ここ十年、浜松など行っていない」

まさかの浜松に繋がるファインプレー。お兄ちゃんすごい。

こうして室賀への疑いを強める真田家とは裏腹に、昌幸は幼馴染であり、切ることなどできないと本多正信に申し上げる室賀。

しかし室賀に逃げ場を与えぬようにねちっこい本多。
室賀の気持ちなどお構いなしです。

室賀の狙いは昌幸の暗殺だろうと判断した真田家は、信繁の祝言に室賀を招き、そこで確たる証を手に入れようと計画を練ります。
祝いの場を血に染める計画に弟思いのお兄ちゃんは大反対しますが、お前の父が殺されようとしているのだと出浦にやんわり恫喝され、了承。

策略が始まります。

そして源次郎が祝言を上げていいと宣告される一方、室賀は昌幸を討つと宣言します。

先週から、源次郎の祝言と室賀の裏切りが表裏一体みたいに同時進行になっています。

晴の門出と死の門出。

祝言

いつもの感じに戻ってあれこれ源次郎の世話を焼くきりを梅は制止します。

「源次郎さまは私の旦那様になった」

牽制と受け取ったのでしょう「嫁になった途端に強気になった」と茶化すきり。そうではないと梅。

「きりちゃんはまだあの人のことが好きだから」

「なにそれ」

笑顔で祝おうというきりの努力はあっけなく打ち砕かれます。

一方、着々と室賀の腹を探る計画を進める大人たち。
信之はおこうに源次郎を祝言の場に足止めすることを頼みます。
事情は知らなくとも、夫の言葉を受け止め了承するおこうさん。
コントばっかりやっていた夫婦がしっかり夫婦らしいところを見せてくれます。

裸踊りやらなんやらで盛り上がる祝言。

昌幸は碁を打とうと室賀を誘います。
先週、内記との対局で碁盤を掃いていたように、意外と碁は達者ではない昌幸。
室賀にわしに勝ったことなどないだろうと揶揄されますが気にせず場を外します。

拗ねて欠席した母上ともども、新郎両親、さらに兄まで欠席という事態。
現代なら色々ひそひそされそうです。

祝言の裏で、室賀のお供を始末をする出浦。回転忍者扉は健在です。

殿お一人で大丈夫でしょうかと心配する内記に手を出すなと言われていると返す出浦の顎についた血がセクシーです。

囲碁は進み、祝言も進む。

ばば様にお酒を注ぐ源次郎。それを体に障ると制する梅。
完全にいい夫婦です。
そして「一緒に飲もうと」きりを呼ぶ梅。
居た堪れなくなったきりは席を離れます。
しかも向かった先は信之が控える、室賀と昌幸が対局をしている部屋の隣。
いくらなんでも間が悪いとしか言いようがありません。

そして源次郎は席を立ったところを、おこうさんに制されます。
今から余興をという病弱な姉に、「姉上がですか!?大丈夫ですか!?」
なんかこの余興をやり遂げたら死んでしまいそうな覚悟の姉上に、源次郎も席を離れるわけにはいきません。

お前の部下はもう始末した。
下につけば、許す。降参しろ。

昌幸は室賀に最後通牒を突き付けます。

しかし室賀は受け入れません。

いつでも昌幸は自分の先にいた、それでも自分が劣ったと思ったことはない。

わしの勝ちじゃ。

懐に忍ばせていた小刀を盤上に、立去ると見せかけ昌幸にかがみこみ、さらに小さい刃物で襲いかかる室賀。

しかしその動きは素っ破・出浦に阻止されます。

そのまま部屋から転がり出る室賀。

「室賀殿、御免」

一族のためなら最初から躊躇わない男、信之も切りかかり、室賀はボロボロに。

傍にいたきりは悲鳴を上げ、内記は娘のためにさらに室賀に一太刀。

頭領の昌幸以外、策に加担した者たちに切られてなお息のある室賀。

廊下に這いつくばってなお刀を手放さない室賀。

強い執念と意地を見せますが、最後は出浦によってとどめを刺されます。

その場からなんとか逃げたきりは信繁のもとへ、和やかな祝言の席から信繁を連れ出し、室賀の死骸を見せます。

その有様を見て、すべてを察する賢い源次郎。

泣き続けるきり。
室賀の死にショックを受けた、それ以上のものがそこにはあります。

自分が心で泣きながら笑顔で門出を祝おうとした祝言がこんなことになり、心の涙が一気に決壊したようでした。

感情を爆発させるきりと反対に、静かにその光景を見るしかない源次郎と梅。

受け入れているかのような光景に、きりは怒ります。
こんなことおかしい、ひどすぎる。

自分の策だ、自分が大名になるためには室賀が邪魔だったと昌幸。

一族のためだとことあるごとに言っていた昌幸。

室賀との別れに悲痛な顔をしていましたが、真田一族のためだと言う言葉はそこでも強く発されました。

源次郎の涙

不思議と怒りはなかった、父の策を見抜けなかったのが悔しかったと源次郎。

そして、梅のために怒り泣いたのは自分ではなかった。

そんな自分が好きになれない。

前半で母・薫からお前は弁が立ちすぎると詰られた源次郎。
後半でも情より理性が先に立ちます。

そして彼はそのことで静かに涙を流します。

そんな彼に、兄は迷え、進むしかないと肩を抱きます。

どこまでも支え合っていけるかのような二人の姿がそこにあります。

まとめ

源次郎と梅の祝言。
輝かしいものになるはずだったそれは血にまみれました。
今回、源次郎と信之、そしてきりの気持ちはうかがえましたが、梅や作兵衛は果たしてどう思ったのでしょう。

はたしてこの策略、源次郎が祝言の前に知っていたら祝言を取りやめにしたでしょうか。今回の源次郎の様子では五分五分という印象です。
あの優しさを常に見せてきた兄ですら作戦に反対しきれないくらい、必要なことだったのですから。

真田家は室賀を失脚させたことで、よりその土地での力を増していくのでしょう。
その顛末に苦しい涙を流した源次郎はその奔流についていけるでしょうか。

次回、真田丸 第十二回「人質」
人質が増えた回の次の回のタイトルが「人質」だなんて気が早いです。

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前回、真田丸 第十回「妙手」

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