梅ちゃんの死と「こころおきなく」戦うこと

大坂編に突入した真田丸
しかしどこか青春編における梅の死を引きずっている。
もやもやしたものを晴らすために彼女の死について書いてみる。

4月3日の放送を最初に見たとき、梅と源次郎の戦場での出会いは余計だったような気が最初はした。

物言わぬ姿で作兵衛と源次郎に発見された梅。
何も言い残すことなく死んでしまった梅。
その残酷さを大切にするなら、戦場で源次郎と梅が一目でも会えたことは余計ではなかったか。
最初はそう思っていた。

しかし、4月9日、再放送で改めて「梅が死ぬ」ことを念頭に置いて見たとき、あの一目会えたことこそが、梅の死におけるファクターなのではないかと感じた。

梅は常に源次郎の背中を押す役割だった。
松を守れなかった時、春日の死に戸惑う時、いつでも梅がその背を押してくれた。
13話でも、梅は六文銭を源次郎に渡すことで、「こころおきなく戦え」とその背を押した。
源次郎は、それをもって六文銭を旗印に戦場で懸命に闘った。

その役割を果たしてからは、彼女の行動は源次郎のためのものではなく、彼女自身のためのものとなった。

作兵衛に「会わなくていいのか」と問われたときには、「邪魔になるから戦の後で」と答えた梅。
しかし梅にとって六文銭が示す「こころおきなく戦う」ために必要だったのは、「源次郎に会う」ことだったのではないか。

必死に戦場に行こうとしていたとき、そこには今までの彼女のふるまいからすると、冷静さに欠ける行動にも見えた。

戦場と娘の元を往復する。
それはバイタリティ溢れる梅らしい行動だったと思う。
それでもあそこで無茶をし、佐助が助けなければ危なかったのは彼女らしくはなかった。

源次郎に一目会えたとき、彼女の心残りはなくなってしまったのかもしれない。
あれほどの無茶をしてでも、源次郎に会いたかったのかもしれない。

二人で支え合って生きてきた作兵衛、そして村の人々に危険が迫ったとき、そこに飛び込んだ梅。

彼女はこころおきなく戦い、そして死んでしまった。
彼女が守った兄、娘、そして夫。
生き残った彼らがどう戦い生きていくのか、まだまだ先は長い。
楽しみにしている。