真田丸 第七回「奪回」取り戻せなかったもの、手にいれたもの

前回、真田信繁は家族を守りきれないという
大きな挫折を経験した。

今回のミッションは彼にとって、
奪われた家族を取り戻すためのものでもある。

真田丸 第七回「奪回」

そして前回は梅に大きく水をあけられた感のあるきりは、
ヒロインの座を奪回できるのか。

真田昌幸VS滝川一益

物語は滝川が北条との戦いで押され始めた所から始まる。

真田昌幸に担がれて、徳川からの援軍が届かず、
最終的に北条との戦いに押される滝川。
傍から見ている分にはもう笑うしかない。

人質に取られた祖母のとり、信長に献上した沼田と岩櫃。
それらを奪回するために、真田一族は立ち上がる。

とりがいたはずの沼田城に難なく攻め入った真田一族。
しかし、とりとそのお供きりの姿はなかった。

一族それぞれに指示を出し、昌幸は沼田を襲ったという
滝川への裏切りを隠しながら、滝川との会談に挑む。

とりは無事だが、伊勢へと無事に帰るためにも、
しばらく預かると述べる滝川。
情報弱者な面ばかり見せている彼も、
そこは戦国武将らしいところを見せてくる。

緊迫の滝川-昌幸やりとなど露知らず、とりときりは呑気していた。
自分の処遇に愚痴をこぼすきりに、とりは人質とはそういうものだと心得を説く。
さすがにとりは肝っ玉が据わっている。
喉が渇いたと言ったら、きりに人質なんだから我慢しろと言い返されてしまう。
遠慮のないやり取りは古くからの馴染みゆえか二人の性格ゆえか。

 昌幸と滝川は別れの酒を酌み交わす。

あっさりと沼田と岩櫃を昌幸に返すと言い出す。
うっかり沼田を襲い、岩櫃も奪回する計画を立てていた昌幸は驚くが、滝川のいい人ぶりは止まらない。

織田信長のもとで成し遂げられるはずだった全国の平和に5話では思いをはせていた滝川。
その平和を望み、再び信濃に帰る日を夢見て滝川は昌幸と杯を交わした。

自分が裏切られているとも知らないで。

 「嘘ばかりついていた」自覚はきちんとあるが、悔い改める気などさらさらない昌幸が清々しい。嘘も方便。一族を守るためには嘘などみじんも躊躇わない。
しかしその嘘が「口は災いの元」な結果にしかなっていないから締まらない。

コント・小諸城

両軍が入り混じることをいいことに、
小諸城にしれっと忍び込んだ信繁は、その知略をもって
人質の居場所にたどり着き、さらに見張りを退ける。

これでまんまと祖母とついでにきりを奪回だとなったが、
きりが信繁からの櫛を忘れたせいで時間がとられる。

小諸城の兵も、滝川の兵も口にするのは善意からの言葉だ。
善意であるが故に信繁も無下にはできない。
相手の言葉を相手に伝えるという形で誤魔化しながら、
長話をしていたせいで、滝川に見つかってしまう。

ついた嘘が相手の善意によって倍になって身に返ってくる辺り、
信繁はさすが嘘ばかりついてる昌幸の息子だ。

木曾義昌・登場

1話から裏切り者としてその存在を示唆されていた男が満を持して登場した。
この男の妻子が処刑され、薫が怯えていたのが遠い昔のようだ。
あの頃は武田勝頼穴山梅雪も健在だったし、
松も小山田茂誠も仲良し夫婦でいちゃいちゃしていた。

信玄公を滅ぼした織田の人間をすんなり通すのは云々と
裏切り者のくせに白々しいことを言い出す。
信濃は昌幸系武将ばっかりか。

しかたなく滝川は人質を差し出し、信濃を抜けた。

――こうして滝川一益は二度と信濃へは戻れなかった。

彼が遅れた清洲会議については三谷氏の同名映画に詳しい(はず。未視聴)
こちらの映画ではわれらが信之が秀吉をやっている。
この方にはさすがの室賀も「黙れ小童」とは言えないだろう。

こうして信州の人質を大勢手にいれた木曾義昌。
(こんなに大量の人質が他にもいたのにピンポイントで真田家の人質がいる場所を教えられた小諸城の兵士はただ者じゃないと思う)

信濃は俺のものだと木曾は演説をぶつが、とりににらまれ青ざめる。

滝川→木曾とたらいまわしにされ、堪忍袋の緒が切れたのか、
わたしだけでも真田に帰してくれといろいろうるさいきり。
梅には助けると約束した源次郎も特に約束していないきりには冷たい。
真田に帰りたいとしょぼくれるきりに信繁は肩をぽんとたたき、
夫婦漫才に目を奪われ、肩たたきの手の止まった三十郎の手をばば様もぽんとたたく。

 そこに木曾義昌が訪ねてくる。
武田家臣団だけあって彼と旧知の仲だったとりのとりなしによって、
信繁は真田に戻されることとなった。
自分はとりをとり戻しに来たのだと食い下がろうとする信繁だったが、
とりに自分の顔を立てろと言われ、帰還を承諾する。

ついでに鬱陶しいからきりも真田に帰せと、きりを帰してやるための方便というよりは本音を言っているように聞こえることを言う。

うっとうしくてよかった~と前向きなきりに、
「ええっ!?」みたいな顔をする三十郎。
信繁が落ち込んでいて、信之があまり出なくて、家康がいない。
こんな時でも笑える場面を提供するために、三十郎は体を張る。

温泉にでも寄ってから帰ろうと小うるさいきり。

真田丸は信州の温泉を応援しています!』

真田丸に名前の出てきた温泉たち、いつか制覇してみたい。

父の叱責・兄弟の長短

真田の郷にやっと帰ってこれた信繁は兄の前で落ち込んで見せる。
慰めてやりたいが、今はそれどころではないと謝る兄に、信繁は答える。

 兄上の顔を見るだけで元気になれる。

信繁にとって信之は頼れる兄で、手助けをしたい人。
守りたいもののために元気を取り戻せる信繁はなかなか「主人公」らしい。

視聴者の誰もがもう信じられない昌幸の上杉への言葉。
人のよさそうな景勝はこころよく受け入れた。
救いがあるとしたら景勝の側近が切れ者っぽいところか。

 

そして上杉から帰ってきた昌幸に信繁は強く叱責される。

 

 お前がなぜしくじるか、それは勘に頼りすぎるからだ。
信之は勘に頼らないから、間違いは少ない。

だが、面白くない。
お前は間違えるが面白い。

人は面白くなければ動かない。

 

信之が聞いていたらまた落ち込みそうなことを言い出す昌幸だが、
信繁はその言葉に感銘を受ける。

たしかに、二人の兄弟のバランスはいい。
同じ兄弟でどうしてここまで差がついたのか、謎だ。

信繁が憧れの叔父・信伊の仕事を手伝えと命じられ、次回に続く。

まとめ

北条の板部岡江雪斎や、上杉の春日信達と
対上杉、対北条編のキャストがそろってきてる感のある真田丸

人の善意に自分の嘘が返ってくるという昌幸信繁父子の特性もなんとなく見えてきた。

来週もさらなる心労が主人公を襲うようだ。
昌幸にバーッと派手に(あんまりうまく行かない)活躍をさせて
その横で信繁に苦難を与える流れがしばらく続きそう。

信繁の正室となる竹林院のキャストが紹介されるなど、
本編の外の動きもあり、今後が楽しい日曜日だった。

次回、真田丸 第八回「調略」

 

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前回、真田丸 第六回「迷走」

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